ミドさんのブログ

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食料自給率

 「食料自給率」の言葉から思い出すのは、どういうことだろうか。毎週金曜日に全国農業新聞という新聞が配送される。4年前農業委員になってから、購読するようになった新聞である。最近の農業の技術開発とか農業者が何で苦労しているといった記事がたくさん載るので、非常に参考になっている。その新聞の一面、「農業春秋」という先週の記事だ。

 

食料自給率

 自給率と言うと、日本人が消費する食料のうち、国内で生産できる食料の比率と、私自身、考えていた。つまり、自給率が低いということは、有事の際に自分たちで食料を100%生産できない訳だから、食糧難に陥ることを意味していると考えていたということである。

 今週は、京大の藤井 聡先生の記事だった。日本の農水産品の食料需要は2015年時点で約13兆円であるが、そのうち日本人が生産しているのは、41.5%という記事である。つまり、農水産品の金額ベースで4割の自給率ということだそうだ。先生の主張は、この残りの需要、すなわち、生産できない食料は輸入に頼っているわけで、それだけの需要を捨てているようなもんだと言うことである。

 

農業の実態 

 なるほどと思った。この自給率について、ここ4年、農業もやらない人間が農業委員の中立委員としてやってきた感想を述べたい。生産できる農地はあるのに、うまく活用が出来ていないという話である。

 水産業については分からぬが、農業分野、特に、稲作ということで考えてみると、かって、我々の地元では小さな規模の農業が多かった。手作業で田植えをしていた時代、1反歩、2反歩といった規模の田んぼの田植え時期になると、家族総出で、田植えをしたものである。そして、大農家ともなると6反歩、7反歩、1町歩(10反歩)といった規模の農家もあった。一方で、小さな農家では、6畝、7畝(0.7反)といった規模の田んぼでも手作業で田植えをしていたのである。

 

田植えの機械化

 ところが、今は、機械化の時代、田植えも田植え機の時代になった。8条植えの機械ともなると、田んぼに侵入する面積も結構な広さになる。その面積だけは田植えが出来ない面積になり、田植えをしないで放置するか、手植えにするしか方法がないのである。また、田んぼ1枚の大きさが、6畝だとか1反歩とかの大きさになると、機械を畦道から田んぼに下ろし、植え終われば、隣の田んぼに入るために機械を揚げて、畔に戻し、再度別の田んぼに入るという動作が頻繁に必要となり効率が悪い。

 

農業の大規模化

 私の近場で大きく稲作をしている農家に、70町歩(700反)という規模の田んぼの稲作をしている農家がある。家族総出でするわけだが、それでも、専業は父・息子の二人、後は、農繁期の土・日に残りの二人の息子と奥様、嫁さんが手伝うということになる。ここ数年、小さな田んぼ(畝規模)や1反歩規模の田んぼを3反歩、4反歩と畔を取り大きくすることをし出したのである。これで、小さな田んぼの田植えが終わったら、機械を揚げるという作業を少なくするメリットもあると同時に、畔分、機械を入れる分、大きく使えるというメリットもある。

 

機械化を阻害する要因

 こうした大規模の田植え機を使う上で阻害する要因となるのは、

   ①昔ながらの小面積規模(1反歩以下)の田んぼが多く、山間部に特に多い

   ②畔をとる(畦畔除去)作業を地主が嫌がる

   ③畦畔除去作業を出来ない耕作者が多い

特に③については、20町歩、30町歩をやっている比較的規模の大きい農家でも、1反歩を3反歩、4反歩にする作業は難しいと言うのである。田んぼを平らに仕上げるのが難しい作業のようだ。それには、測量機器も持たないとできない作業だからだろう。

 

自給率の改善

 つまり、自給率の改善には、大農家(10町歩規模の農家)の機械化がポイントだということである。小農家でスタートした日本の稲作農業は、規模を大きくするためには、地主自体の考え方を変えるのはもちろんだが、大農家自身が、田んぼの大型化をできることが前提になる。小さな田んぼや山間の田んぼ、耕作者が高齢化した田んぼ等など、放棄地となった田んぼが一杯ある。こうした田んぼが生かせるような機械化が進まない限り、稲作の自給率は改善できまい。と同時に、採算性を考えても効率の良い耕作を考えたら、大型機械化は必須である。

 最近の新聞には、北海道の稲作が注目しだしたそうである。畑作同様、北海道は大規模農家に合っている規模であり、また、最近の温暖化で気象条件も変わりつつあることから、耕作場所が北へ移動することは、当然と言えば当然であるが、色々なところを改善しないと自給率の改善にはつながらない。

 耕作者が大型機械化できるような耕作地の改善など、農政関係の政治家には、補助金の捻出だけでなく、本当の農家や地主などの改善に手を付けて欲しいものである。

            (次回に続く・・・)