ミドさんのブログ

日頃思いつくことを書いてます

世界のおもしろ昔のはなし㉕

 「Outing=遠足」という行事が、私が赴任する前に既に会社行事としてあった。勿論規模もやり方も違ったのだろうが、この行事はそのまま続けた。フィリピンならではのイベントも開かれた。

 

フィリピン人の優しいきもち

 出張者や新しく来た社内外の赴任者など、「フィリピン人は・・・」と言うように、フィリピン人を非難するような人に、私は、「フィリピン人や従業員を、小学生高学年から中学生の年代の生徒を相手にしていると思ったら、彼らの主張や言うことが理解できる」と話していた。これは、彼らを卑下しているのではなく、彼らに接するためのコツを言ったもので、そうしたフィリピン人も、子供があり、家を持ち、親の面倒を見ている親であることに変わりはない。純情で直情的で、喜怒哀楽をストレートに出す、そういった彼らの気持ちを、「小学生の・・・」という表現にしたに他ならない。

 

遠足(Outing) 

 Outingは、正に、彼らが会社にいて最も楽しい行事であり、会社にいて良かったと感じる時であり、喜怒哀楽を表現できる場、純情で直情的な彼らの心情が表れる場なのだ。この他にクリスマスパーテイもあったが、それより、こちらの方が彼らにとって重要と言うか、楽しい一時だったように思う。

 遠足とは、海岸などのリゾートと言われる所に、バスを貸し切って全社員が出掛けるのである。日本人の大人でも楽しいのであるから、フィリピン人が楽しくない筈がない。大体、こういったリゾートには、海のそばでもプールがあり、泳げない人でも楽しめるようになっている。そうそう、書くのを忘れたが、こういった行事は、全て、何と、「出勤日扱い」なのだ。そして、基本的に費用は、全て会社持ちである。身一つで参加すれば、1日中楽しめる行事なのだ。

 目的地へ到着すると、その辺の海岸線に散らばり各々が、海で泳いだり、プールで泳いだり、浜辺で球技をしたり、シートを広げ持ってきた食べ物を食べたり、飲んだりと各々が楽しむ。 

 決まり切った昼食や飲み物は会社が準備するが、それ以上のものは、各自持参するのである。こういった所では、簡単に楽しめるので、バーベキューにすることが多く、あれが旨い、これを食べろと、皆でワイワイ言いながら食べたり飲んだり、日本人が寄って行くと、無理やり、美味しくも無い安い酒を飲まされる羽目になるので要注意でもあるのだ。

 

遠足での失敗 

 こんな経験がある。1年目か、2年目のOutingである。いつものように出掛けて、グループ毎に集まっている皆の所を訪問しながら、全てのグループを回り終わった時だ。急に酔いが回ってきて、日本人用に用意された小屋(バナナの葉っぱで作られた簡易の小屋)に寝そべるとすぐ寝てしまった。数時間寝ていたろうか、起きたら誰もいなくなっており、待っていたのは、私のドライバーだけだった、なんてこともあった。日本人も、フィリピン人マネージャー達も、寝ている私を置いて、サッサと帰ってしまったのである。冷たいものだと思ったが、彼らにしてみたら、帰れない訳ではないし可哀そうだから寝かせておこうと言う優しい気遣いだったようである。

 

遠足で必ずやられるイベント

 こんなOutingで必ずやる行事がある。それは、水着ショーである。日本ならさしずめセクハラとか何とかと言われ兼ねないが、出場する女性も楽しんで出るのだ。こうなるとエンターテインメントに優れているフィリピン人の独壇場で、とても、日本人は付いていけないが、見ていて本当に楽しい。素人であるにもかかわらず、プロのモデルを見ているような仕草をし、ポーズを決めるのである。キャーキャー、ピーピーと歓声の渦だ。そうして、その子たちの順位を決める役が日本人で、恥ずかしいが投票するしかない。1位になったからどうの、2位だからどうの、ということは、彼らにとってはどうでも良いことらしいのだ。日本でよく見るような妬みのようなものは全く感じられない。当然ながら、優勝者には・・という風に商品を出すのだが、日本円で400円、500円程度のもので十分である。また、場合によっては、男子の水着ショーなんかもあったりする。男子の場合、女子と違い、ポーズが派手で見ていて特に面白かった。

 

本当にすごい! クリスマスパーティ 

 こうして、Outingの1日は終わるのだが、クリスマスパーテイが凄い。日本のチョッとしたショーを見ているようだ。

 企画立案、準備、実行、片付けまで、全て自分たちで準備する。舞台の製作から、音響効果から食事の出店まで全部従業員が準備するし、舞台でする出し物の企画立案練習など、全て空いている時間にするのだ。こうした事は、本当にフィリピン人の得意分野である。日本人では足元にも及ばない分野だ。素人集団で、日本の老人ホームなど慰問に回れる程の出来栄えである。その舞台で各部門、各グループ毎に出し物が演じられ、勝敗を競うのである。しかしこの時の賞品が凄い。取引先から来る寄贈品や日本人のプライベートなお金を使い寄付した品物を使い、賞品として準備するのだが、1位は、洗濯機、テレビとか、2位はDVDプレーヤーといった電気製品が並ぶ。今どきと思われるかもしれないが、洗濯機やテレビなどは、まだない家庭がザラなのだ。

              (つづく・・・)