ミドさんのブログ

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ユージンが戻って来た!

 そして、ユージンが戻って来たのである。マネージャーが、どうしますか?と尋ねてきた。受け入れるのか、それとも拒否するのかというのである。会社には、規則があった。辞めた人間は、一定期間受け入れないという規定になっていた。それを知って、このマネージャーは聞いて来たのである。

 私は、「最初から、彼に休暇を取らせただけなので、戻ってきて当たり前、そのまま受け入れるように」と、マネージャーに伝えた。

 昔の、一か月前の同じユージンがそこにいた。

 

ユージンに他社の感想を聞いてみた

 戻ったユージンに、最先端技術はどうだったか聞いてみた。結局残業を夜昼、目一杯やらされ、仕事は、生産管理のような仕事で、当初自分で予想していた仕事とは、雲泥の差だったようで、嫌になった、やっぱり、この会社の方が良い、との結論だったようだ。彼も、大学を出て以来、我々の会社しか経験していなかった事もあり、隣の芝生は青く見え、他社に興味もあったのだろうと思う。

 

たった一人の従業員の影響度 

 このユージンの戻りをきっかけに、社内が明るくなった。ユージンと同じ会社に移ると言っていたエンジニアも残る事になった。

 その後、総務から、ユージンの勤続年月の計算をどうするか、聞いてきた。勤続年数は、将来退職金支払い額に影響するのだ。私が、前から言っていたように、経歴は、最初に入社した年月とし、今回は、あくまで、長期休暇の措置とするよう指示をした。

 ユージンには、感謝したい事がある。

 

社外表彰を受ける 

 毎年、トヨタ現地法人で、アワード、即ち、1年間で優秀な会社に贈られる賞があった。私が赴任した翌年であったと思う。アワードがあるので、会社の代表者と営業責任者は出席する事との通達がトヨタ自動車現地より、連絡が営業に入った。当然ながら、私と、営業担当マネージャーとで出席する事にし、マネージャーに何があるのだろうか尋ねると、どうも、当社が表彰されるらしいとの話だった。

 そして、表彰式が始まった。表彰式と言っても、最初は、トヨタ現地の、今年度の事業計画、生産計画、品質計画、購入計画などなど、親会社で言えば予算会議みたいなものが始まった。社長の挨拶・経営方針から始まり、事業計画役員の事業計画説明、製造関連役員の製造部門として何に重点を置くかの説明、そして、品証管掌役員からは品証での重点項目、更に、資材としてどういった納入会社を歓迎するかが説明された。

 最初から、社長・営業部長が来るように言われた会社は、大きな会場の前の方の席を指定されていた。そして、前年度のトヨタ現地に貢献してくれた会社が発表されたのである。3部門の賞があった。生産で貢献してくれた会社、品質で貢献してくれた会社、そして、納入金額で貢献してくれた会社の3部門だった。生産部門は、納期が遅れなかった会社であり、品質部門は、不良を出さない会社であり、納入金額部門は、VEC等への協力度合いを示す賞だった。

 当社は、品質部門と生産部門でそれぞれ最優秀賞、優秀賞のダブル受賞をしたのである。トヨタ自動車であるからブレーキホースの納入に関してである。つまり、ユージンが管理する部門での受賞であった。

 

感激と従業員に感謝

 「・・・Presented ○○〇 Philippines!」とアナウンスされる。拍手が湧いて、私が壇上に上がる。そして、トヨタ現地の社長からトロフィーを受け取る、誇らしげになる一瞬だった。そして、トヨタ社長、管掌役員そして私と一緒に記念撮影と続く。

 私は、何と良い社員たちを持ったのだろうか。こんな晴れ舞台に立たせてくれた、と従業員全部に感謝したものである。そして、「何か挨拶をせよ」と司会者が言うのである。何を具体的に言ったか忘れたが、「こんな誇り高い賞を頂き感謝しています。工場に帰り、社員一同に報告し、皆と一緒に祝いたいと思います」という主旨だったような気がする。他の受賞者の中には、日本語でスピーチする社長もいたが、私は、ブロークンながら、全て英語で感謝の気持ちを述べた。

         (つづく、・・・)