マネージャーと業間垣根
創業当時からいるマネージャーは5人いたが、事業縮小絡みや詐欺事件で2人が辞め3人になった。そして新たに、3人をマネージャーにして、6人体制とした。
事業縮小をしてから、色々な業務改善やコスト削減をやって行く中で、これら6人、特に工場にいる5人の牽制がそれぞれ始まっていた。何か言えば、ここから先は、生産管理の仕事だの、これは資材の仕事だのという、日本の親会社で言う、部門間の垣根が高くなりだしたのである。それはそうだ。業務改善にしろ、コスト削減にしろ、今まで何かモヤッとしていた成果を、それぞれのマネージャーの成果として給与に反映させ始めたから、彼らの給与を自分で上げようとすれば、他の部門の事には構っていられない、という風潮になるのである。当初、関連マネージャーを集め、ものの考え方から教え込み、垣根を低くするように教育をしていたが、思うようでなかった。
起死回生の副工場長昇格人事
そこで、一番年上の創業当初からいるマネージャーAを、副工場長格に押し上げた。効果が表れ出だした。Aが他のマネージャーの長として動き始めたのである。正に、「職位が人を作る」であった。他のマネージャーを集め会議を開いて、意見を聞き、指示を出したり、製造課長兼という肩書だったが、生産管理にも、品証部門にも、営業部門、資材部門、そして総務部門にも口を挟み、意見を言うようになってきたのである。こうして、社長としての私は、非常に楽になり、社内ばかりでなく社外にも労力を割く事が出来るようになった。
人事制度
社外の話をする前に、非常に重要で、古典的な話題の人事の話をしたいと思う。
私が赴任した頃、小さな製造会社ということもあって、大雑把な人事規程はあっても、系統立てた人事規定というものがなかった。というより、社長の権限で何でもできる人事規程になっていたのである。むしろ、旧社長は、その権威で工場を纏めようとしていたのかもしれない。
優遇される一部社員
SVやエンジニア・スタッフから毎年一対一での意見交換の場を設けた話を既に説明した。その中で人事に関する話が色々出た。ある輸出業務をやっている、頭の良い綺麗な女性スタッフがいたが、この女性が人事上優遇措置を受けていると言うのである。
聞く所によれば、彼女の昇格が1年の内2回あったと言う。総務課長に調べさせた。確かに、数年前、勿論私が赴任する前だが、そういった事実があったのである。
人事の実態
これをきっかけに、スタッフや作業者の昇格経歴や給与レベルを調べさせた。出てくる、出てくる、正に、出鱈目の極みだったのである。良くもマア、こんな調子で、何を根拠に昇給、昇格をやって来たのか、と首をひねりたくなる程いい加減だったのである。恐らく、前任社長は、総務課長に任せっ切りで、言って来たのを良いとかダメとか言いながら処理しており、実態を把握していなかったのではと思われた。
新人事制度作成に着手
そこで、人事規程を作ることにした。それから、規程を作るのに半年以上掛り、給与レベルを修正するのに2年掛った。そして、私が退任する1年前には、キチンとルールが出来上がり、不満の出ない実態になった。
(つづく、・・・)