ミドさんのブログ

日頃思いつくことを書いてます

世界おもしろ昔のはなし(60)(べトナム調査団2)

ベトナム訪問(政府関係)

 ベトナムでは、まず、JETRO(ジェトロハノイを訪問し、ベトナムへの日本の投資状況等のレクチャーを受けた。ベトナム政府が日本の投資を使い、いかに工業を発展させてゆくかの道筋を付けて行くのがJETROの役目である。従って、日本政府にお金を出させるのも仕事であると同時に、ベトナム政府に、その気を起こさせるのも役目でもある。そういった役目遂行における苦労話なども聞くことが出来た。

 日本政府の現地出先であるベトナムの大使館を訪問し、投資関連の話を聞いた。ここでは、EPAなど、大分前に話題になったTPP(環太平洋連携協定)に関係する、二国間経済連携協定のような話が沢山話題の中に出てきて、非常に勉強になった記憶がある。もっともこういった話の中心は、日本人会会頭を始めとする商社出身の皆さんが主役である。そして、次は、ベトナム政府機関である。計画投資庁、外国投資庁中小企業庁への訪問。これらの機関は、今まで聞いたこともないが、そこで話題になる事も目新しいいものばかりだった。同時に、製造会社として話題になっているような問題が政府としても問題視し検討されている事が分かった。そうして一日が過ぎた。

 

ベトナムとフィリピンの政府の違い

 ベトナム政府は、日本政府の援助やアドバイスを素直に聞き入れ、開発に力を入れていた。それに引き換え、フィリピンは、政府の積極性というか、素直になり切れていないというか、国を憂いて、何とかしようという気力に欠けているような気がしてならなかったのである。政府の姿勢や考え方、熱意でこれ程成長に違いが出るものか、と思ったものである。あっという間にフィリピンはベトナムに抜かれてしまうと思った。

 

いよいよ製造会社訪問

 次の日は、製造会社グループとソフト会社の2班に分かれ、会社訪問である。ここからは、私たち二人の企業側が主役である。

 ハノイの工業団地に進出している2、3の製造会社を訪問した。我々と同じような問題を抱えている事も分かった。一方で、政府が後押ししている力の大きさが分かり、羨ましく感じたものである。しかし、フィリピンはタイに比べ、労働力が安く、質的にもまだまだ魅力があるとも感じた。従って、フィリピン政府の姿勢が変われば、今後、大きく発展する可能性を感じた。

 

今、想うこと

 こうした実りあるベトナム訪問が終わった。こういった経験が出来るのも、私を海外製造会社の社長として、派遣してくれた上司のお陰である。こんな経験は、サラリーマンならではの経験だろうし、ましてや、海外会社に赴任したからと言って経験できるものでもない。幸運に幸運が重なり実現した経験であった。グループ会社連絡会の会長を引き受けたのも、海外会社への赴任を引き受けたのも、ある種運命だったのかもしれない。与えられた経験を生かすも殺すも本人の心掛け一つであり、そういった運を引きつけるのも、本人の心掛け一つのような気もした。ただそういった心掛けを持っていても、周りの上司、同僚、仲間、部下の協力なしには達成できないものである。

 

調査の事後報告書と報酬

 これで終わらないのは、政府の仕事だからである。我々企業から派遣された二名は、国のお金でベトナムに行ったのである。従って、そのお返しが報告書だった。A4で20ページ程度の報告書をJETROに提出し、その報告書は、現地日本人会の機関誌に掲載された。

 ここから先が又面白かった。何と、報告書に対して、一枚幾らという報酬が貰えたのである。14、15万円の収入になったと記憶する。なんと1枚7千円である。

 

報酬の使い道

 でも私企業に勤めながら貰った報酬である。私が個人で使う訳にはゆかない。そこで、従業員の為にこのお金を使おうと考えた。何かの理由を付けて、全従業員に、Free Lunchをご馳走した。これは、みんなが喜んでくれた。しかも、従来フリーランチと言えば、近くのファーストフードからハンバーグなどを取り寄せるのが定番だったが、この時は、私のリクエストで工場内でのバーベキュー大会にしたのである。

 そして残ったお金をどうしようかと考えたが、会社の将来の為、従業員の将来の為に、会社敷地内に果樹を植えることにし、買えるだけ買って従業員みんなで構内道路脇に植樹した。5年もすれば、マンゴー、マンゴスチンスターフルーツなどなどの果物が一杯実り、従業員皆で食べられるようになる筈だ。10本以上の果樹が植えられたのである。

 いつの日か、これらの実り具合を確かめに、会社を訪問してみたいと思っている。

 

そして、帰任(=定年退職)

  そして、ベトナムから帰って数カ月して、後任が入国してきた。いつしか61歳を迎えていた。そして、5月末帰任となった。

        (つづく、・・・)