ミドさんのブログ

日頃思いつくことを書いてます

世界おもしろ昔のはなし(77)

 今までの「世界おもしろ昔ばなし」の記述は、10年前のものであり、一番新しいフィリピンでの出来事ですら、15年も前のモノである。従って、今では、そんなことない、というようなこともあるかもしれない。そのつもりで、読んで頂きたい。

 

安全予防

 レストランを出て、車のある所まで僅か10m足らず、その途中でお金を脅し取られたなんていう事件は、しょっちゅうあった。抵抗すると刺されたり撃たれたりするので、絶対抵抗するな、とも言われていた。

 自分のコンドミの入口に付くとホッとしたものである。住居の所で書くのを忘れたが、家のカギは、正規のカギの他に、工具店で別のカギを買ってきて、更に取り付け、2重にしていた。これは、コンドミ入口に常時いるガードマン(が、各戸のキーを保管していた)ですら信用できなかったのである。

 

フィリピン人

 こんなフィリピンだったが、フィリピン人女性は、愛嬌があり、サービス満点で、朗らかで、屈託がなく、どんな所でも楽しくさせてくれた。これに反し、フィリピン人男性は、危険な存在で、兄妹、父親と言えども信用できないと言う程、怖かったのである。見知らぬフィリピン人男性とは、目を合わせないのがコツだった。勿論、会社の男性従業員は、そんなことは無く、屈託が無く、女性と同様だったが、意外と短気で、所謂、頭に来ると何をしだすか分からないという一面もあった。

 

ドライバー

 会社で昔は社員ドライバーを雇っていたそうである。しかし、私が社長になってからは、一切ドライバーは雇わず、ドライバー派遣会社から派遣してもらい、自社で買った車を運転して貰っていた。その後、車も一緒にリースとして、ドライバー付きで借りていた。

 フィリピンでドライバーは、自分の命を預ける訳で、非常に重要な存在だ。最初は、色々なドライバーを雇っては解雇し、解雇しては別のドライバーを雇うという繰り返しをしていたようだ。私が会社に赴任したころは、既にそんな時代も過ぎ、良いドライバーだけが残っていた。

 ドライバーとは、何処へでも一緒に行くし、高速道路などは、100km/h以上のスピードで走るから、正に命を預けているのである。何処へでも一緒に行くということは、秘密やプライバシーが保てないということであり、運転技術の旨さもさることながら、口が堅い事が条件になる。更に、地理にも明るいことが必要だ。男しか行かないような場所に行く時などは、奥様に内緒にするため、ドライバーと口裏合わせをしていた御主人を良く知っている。休日などは、奥様が旦那の車とドライバーを使ったりする例があったので、利口な奥様は、旦那に聞かないでドライバーに昨夜行った場所を聞くなんてことがあるので、結構重要な口裏合わせだった。

 

フィリピンでの車の乗り方

 ついでに車の乗り方を書いておこう。事故の時に危険ということで、助手席には決して座らなかった。後部座席のドライバーの真後ろの一番安全と言われている席が私のいつもの場所だった。そこに、キチンと座らず、腰を丸め、足の膝を前の座席の背に宛てて、顔や頭が窓から出ていないような座り方をしていた。外から見たら、運転手しか見えないような座り方だ。これは、長時間乗る時に楽な乗り方だったが、それ以上に、誰が乗っているか分からないようにするためと拳銃などで狙われても頭部に当らないようにするための自己防衛方法だった。

 

商社社長、誘拐事件

 20年位前(もう、30年にはなる)だろうか、商社の現地法人社長がゴルフ帰りに誘拐された。これは、ドライバーと犯人が結託し、連絡を取り合いながら誘拐したそうである。後で話を聞くと、この社長は、ドライバーに憎まれていたそうで、日頃から、ドライバーを大事にしておくことも心掛ける必要があった。日本に帰国した時は、ドライバーの子供へのお土産とか、日本食などの外食をした時には、余りものを包んでもらい、手土産にしてドライバーにあげるとか、などなど気を使ったものである。また、ドライバーの自宅にもお邪魔し、奥さまや子供達の様子を見せて頂き、家族ぐるみのお付き合いのような事もした。

 

常に安全を意識した行動

 たいしたお金を持っていなくても、日本人は、金持ちに見られ、その筋のフィリピン人には狙いたい外国人なのである。従って、ドライバーとは良く話をして、時間ピタリに決められた場所に来させるとか、ビルなどに入って仕事や遊びをする時などは、車が到着するまで、建物の外には出ないとか、入口が2か所あるようなビルの場合は、入る時と出る時では、別の出入口を使う、といった気の使いようだった。

 その甲斐あってか、駐在の5年半、事件らしい事件にも遭わず、危険な目にも遭う事も一切なかった。注意をすれば、安全な国、そして楽しい国フィリピンである。

      (つづく、・・・)