ミドさんのブログ

日頃思いつくことを書いてます

フィリピンの魅力(18.スプーンとフォーク)

イカラな料理

 私が子供頃だから半世紀以上も前になる。食事は、三食ともご飯に味噌汁、たくあんの漬物、それとおかずが一品か二品と決まっていた。そのおかずは、魚・野菜が主流で、肉というのは余り出たことがなかった。今のような料理番組どころか、テレビがない時代なので、本でも読まない限り、料理の仕方などは自力では分からない。だから、母親に教わるのが唯一の手段でもあった。従って、女性がお嫁に行く時には、花嫁修業と称して、料理を教える学校に通い母親が教えてくれた以外の料理を、しかも、当時でいう言う「ハイカラな料理」を覚えてきたものだった。

 

ナイフとフォーク

 その頃、当時の大きな食堂(レストラン)へ行くと、日頃食べ慣れていない肉料理が出た。大きな食堂へ入ること自体が、田舎者にとっては一大事だった。テーブルに白いクロスがかかり、膝の上には白い布が置かれる。そして、前菜から順に料理が出てくる。そして、食べ慣れた箸ではなく、スプーンとフォークである。何もかも、経験したことのない出来事だった。普段、カレーライスなどを食べるときにはスプーンを使っていたが、こういうハイカラな料理でスプーンとフォークが出てきてそれをどうやって使うものやら。と、マァー一大事だったのである。肉は、ナイフとフォークで食べるものと、物知り顔の人たちが教えてくれ、悪戦苦闘として食べたものだ。

 

スプーンとフォーク

 そして、所変わって、フィリピンである。フィリピンに限らず、東南アジアは、全てそうった言い方をするが、食堂(大衆食堂)は、「キャンティーン」と発音する。フィリピンの会社へ赴任し、会社内のキャンティーンを見て、最初に不思議に思ったのが、ナイフとフォークではなく、スプーンとフォークだった。子供の頃からナイフとフォークが「対」のように教えられ育った人間としては異様に見えた。実に器用にスプーンを扱うのである。日本人が、カレーライスを食べるとき、おかずが何がしかあると、箸とスプーンを準備するのと同じ考えである。箸は食べ物を持つのに使うが、時には、魚などの場合は、身を千切ったりする。更に千切れない食材だと、一方を箸で押さえ、スプーンで引っ張って千切ったりする。この箸の代わりにフォークがあると考えれば容易に想像がつく。

 

テーブルマナーで外国人差別

 そして、その頃、フィリピンの新聞に記事が載った。カナダに移住したフィリピン家族の子どもが現地の学校で差別を受けているというのである。つまり、低学年の学校で先生が子どもたちにテーブルマナーを教えようとすれば、右手にナイフ、左手にフォーク、そして音をたてずに食べるようにと教える。ところがこのフィリピン生まれで育ちの子どもは、スプーンを使った。すると先生は、何とかして矯正しようとしたのである。それが外国人差別という話に進展した。

 

気にする欧米人

 日本でも和食を食べるときに、同様な厳しいマナーを要求する家庭や環境もあるだろうが、日本はそこまで厳しくないというのが一般的だろう。しかし、洋風の外国、特に欧米は、食事に関するマナーは一般の人まで厳しく躾けられるようである。そうした欧米人が日本に来ると、日本の食事マナーに興味を持つ。日本食はどういったマナーで食べるのかと気にするのである。

 

気にしない東南アジア

 その点、仏教徒はあまり厳しく躾けられないのが一般的だろう。東南アジアの国々に行ってみても、手で食べるのを始め、箸を使ったり、スプーンを使ったり、ナイフ、フォークを使ったりと多種多様である。フィリピンは箸を使うことはないが、殆どがフォークとスプーンで食べる。フィリピン料理の中には汁物が結構多い。従って、そうした食べ物から、食べやすい食べ方になっていったのかもしれない。

   (つづく、・・・)