ミドさんのブログ

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グラデーション・ワールド

オストメイトとは、

 オストメイト(Ostomate)と言うことばを初めて聞いた。人工肛門保有者と言えば分かり易いが、人工膀胱保有者も含めてこう言うらしい。このアルファベットは、英和辞典で調べても出ていない。英語ではないのだろう。

 人工肛門と言えば、かって、渡哲也さんが大腸がんで人工肛門にしたというニュースを聞いたが、それがどんなものか他人事として考えていたこともあり、詳細は分からなかった。ネットでいろいろ調べていると、フリーアナウンサー中山美穂さんもオストメイトだったと出ていた。腸などの疾患を治す一時的な処置として人工肛門を付け、治癒した後には取り除き、普通の状態に戻すという治療もあるらしい。中山さんはこのような病気で1年間オストメイトだったらしい。

 

オストメイトモデル、エマ

 このモデルは、水着姿を披露した。顔だちも綺麗な、体の線も見事な女性の右腰腹部に四角のビニール袋のようなもの(パウチ)が付いている。これが、汚物を受け取る袋なのだそうだ。男性ならあまり気にしない人もいるだろうが、女性なら、自尊心を傷つけられるのは容易に想像がつく。中井美穂さんも一時的とはいえ、公表をせずにいて、治癒して取り去った後、2回目の「徹子の部屋」出演で公表したそうである。

 そして、このモデルは調べてみると、エマ・大辻・ピックルスさん、現役医師で、一児の母親でもある。出身はイギリスで、イギリス人の父と日本人の母を持つハーフである。4歳から日本で育っているという。

 

人工肛門とは、

 オストメイトの存在やストーマの認知・普及を目指し活動中で、昨年からはテレビドキュメンタリーも放送されて、話題になっているようである。2019年に人工肛門を装着し、オストメイトになった。人工肛門とは、病気で機能しなくなった腸などを切除するなどして、残った部分で腹部に排せつ口を作る。筋肉がなく排便やおならをコントロールできないため、袋状のパウチを常に装着、排泄物を受け止める方法である。

 

オストメイトの悩みと葛藤

 しかし、オストメイトは、国内には約21万人いて、そのおよそ9割が「社会に理解されていない」と感じているようであり、また同時に、温泉や銭湯、ジム、飲食店の仕事などで誤解や知識不足から差別を受けた事例もあるようだった。そして、エマさん自身も、においなどを気にして、「諦めて我慢する」ことばかりだった、と言っている。

 

オストメイトの海外と日本の違い

 エマさんは、ここからが違った。海外のオストメイトモデルたちが、人工肛門であることを隠さずにハッピーに生きる姿を人々に伝え、社会を動かし始めたことを知る。自身も海外の「オストメイトモデル」という存在の人々を知り、大きな夢が生まれる。

 日本でもオストメイトの存在をもっと知ってもらいたいと、自身が、日本初のオストメイトモデルになることを決意したそうだ。

 

エマさんの想い

 エマさんは、インタビューで答えている。一部を抜粋して下記する。

『私自身もこうして服を着てしまうとオストメイトであることは見えないし、自分自身も忘れてしまうこと、パウチがないようにふるまいたいときだってあるんです。何もオストメイトに限ったことじゃないですよね。

 たとえ健常者であってもみんな何かしらのハンデを抱えていると思います。オストメイトの人が開示できないように、人に理解されづらい悩みを一人で抱えたり隠したりしている人は多いと思います。

 ほんの少し想像力を働かせてみたら、うらやましいような生活をしている人だって悩みがあってそれを見せていないだけということに気づくはず。医療って誰かに「希望」を与えることだから。長い間闘病していて、医療者としてキャリアは全くないけれど、オストメイト医師として誰かに希望を与える存在になりたいんです。ちょっと大きな目標になっておこがましいんですが、みんなそれぞれ人に言えない悩みがあって、それでも一人ひとりが少しだけ想像力を働かせればすごく温かい社会になるんじゃないかと思うんです。

 「いろんな人がいていいじゃない」と。一朝一夕にはできないけれど、「バリアフリー」よりも濃淡のある「グラデーションワールド」がみんなの共通認識になったらいいですね。』