最後の授業
早朝目が覚めた。いつもの癖で、すぐテレビを点ける。すると面白そうな番組が始まろうとしていた。「最後の授業」というタイトルだった。授業をするのは福岡伸一氏(農学博士、生物学教授)である。名前も知らなかったので、ネットで調べた。大変な経歴の持ち主だった。30分の授業だったか1時間の授業だったか、最初眠い目を向けて聞いていたが、その内話に引き込まれ、授業が終わる頃には目はパッチリとなった。
NHKアカデミアと言う番組だった。夜中だったので、恐らく、再放送だろう。
顕微鏡の発明が世界を変えた
「私が生まれ育ったころは”・・・おたく”と言う言葉はなった。しかし、私は”虫おたく”だった」と言いながら画面には綺麗な蝶々の写真を映し出す。そして、人間のお友達はいないが虫の友達はいると言い出す。顕微鏡の開発・発見は生物学に大きな役割を果たしたと。当初は300倍の顕微鏡で日本の江戸時代が始まる頃、オランダ人が発明したんだそうだ。
生命とは何か
そうして開発が進んだ現在の顕微鏡を使い、「生命とは何か」の研究を始めたらしい。当初はマウスを使っての研究で、生命が機械のようだと考えれば、その部品である細胞を一つ取り出してしまえば、機械が動かなるのと一緒で、生物もどこかに支障が出るの違いないと思ったが、マウスの寿命の間中観察続けたが何の支障も起こらなかった。どうも生命は機械のようなものではないことが分かり、理由を考えたそうだ。
人間は食物を食べる。なぜ食べるのか。それは体の栄養になり、必要のないものがウンチとなって出ると考えていたが、どうもそうではなさそうだ。食物は体の一部にとって代わり体の一部の老廃物がウンチとなって排出されると考えざるを得ない。車とガソリンの関係とは違うと分かった。ここで ”動的平衡” という考えが出てくる。そして、合体と分解、エントロピー増大の法則が出てくるのだそうだ。この辺に来ると私では理解できなくなる。
研究は苦悩である
新しいものに取って代わるなら、「なぜ、老けるのか」という疑問に突き当たる。しかし、少しづつ老廃物が溜まってきて老けるのだそうだ。また、生命には部品がない、とも言う。狂牛病が餌に使った肉骨粉が原因だったことなどから、脳死問題、脳始問題にぶち当たることになった。「研究は苦悩である」と言う。どこまで行っても解決しないものである。「生命とは何か」の命題に苦悩している、と言うような話だった。
最後の方は眠気と葛藤しながら、しかも、話が難しくなり良く分からなかったが、しばらくぶりに「授業」を聞いた気になった。