ミドさんのブログ

日頃思いつくことを書いてます

世界おもしろ昔のはなし(56)

フィリピンの結婚式との違い

 前回、フィリピンの結婚式・披露宴について書いた。この時の新婦は、会社内では主任という立場で、私がペイペイで結婚した年齢より大分遅く、社内では中堅どころの人物である。従って、これがフィリピンの結婚式の典型と言ってもよいと思われる。

 日本の結婚式と大きく違う点は、仲人が複数人存在する点。最近、日本では仲人を立てない結婚式も多くなってきた。そういった意味では、フィリピン方式は、日本流に言えば、より古い形の結婚式と言えるかもしれない。しかし一方で、日本のような決まったシナリオがない。仲人挨拶なんてものもなければ、披露宴の受付さえないのである。お祝いしたい人が集まり、みんなでお祝いをするという非常に自由な形式なのだ。

 ここまで来ると、一方のお葬式の紹介もせねばなるまい。

 

お葬式

 これも一回しか出た事がない。理由は前回述べた通り、社員に対して不公平にならぬよう、敢えて、結婚式・お葬式には、お祝い・香典は包んでも、出席しないようにしてきた。会社に数人しかいない、マネージャーのお母さんのお葬式だった。

 これは、葬祭場のような会場でのお葬式だった。会場には、沢山部屋があり、名前が入口に掛っていて、該当の部屋を見つけて入る。入ると中央奥に祭壇が置かれ、遺体が安置してある。日本のように、遺族席といったものはなく、会葬客も遺族も同じ所に座るので、誰が誰だか分からない。それでも、マネージャーが近寄ってきて、挨拶後に、親族を紹介してくれたので分かった。この時は、本来のお葬式は田舎でやるとかで、一時安置した所で、マニラ近郊の知り合いが会葬する場所を作ったという事であったらしい。ここでも、結婚式同様、受付というようなものはなく、三々五々来て、会葬し、遺族に挨拶を申し述べて帰るというような自由なシステムのようだった。香典も、マネージャー本人に手渡した。

 

社会奉仕活動

  社会奉仕活動を会社としてやっていた。この活動は、社内で、一定の予算をとり、活動委員会のような組織を持ち、会社の公式活動として、総務が中心にやっている活動である。この委員会に入っている人達は、同じフィリピン人の人助けになる事であり、しかも、自分のお金でなく、会社のお金を使って人々に感謝される事をする訳であるから、一層力が入るのである。

 マネージャーミーテング等で、総務から毎回事後報告があったが、どんな活動なのか、自分の目で確かめたくなり、見に行った活動があるので、二つばかり紹介する。

 

容易に払えない医療費用

 まず、一つ目は、日本でいう歯科検診である。これを小学校の一室を借りて、その地域住民の歯科検診をするのである。

 前にも書いたと思うが、フィリピンでは、医者に掛るのは、歯医者と言えども、まずお金である。お金がなければ掛れないのだ。日本のように、診察し治療をして、最後にお金を払う、というシステムは、医者と患者の信頼関係があって成立するものである。治療はやったが、お金がなくて払えないという患者が一杯いたら、医者は潰れてしまう。まとまったお金を持たないフィリピン人には、医療費と言えども、容易には払えないのである。

 

歯科検診すらしない行政

 従って、企業の企画とは言え、無料歯科検診となれば、その周辺の住民が集まってくる。要は、会社のお金で歯科医を雇い、一日、歯科検診を地域住民の為にしてあげるのである。日本なら地域行政がするサービスであるが、貧困であるがゆえに、国も行政もお金が回らないのだ。

 一方で、高級車を運転手付きで乗り回し、高級住宅街に住み、メイドやボーイを数人も雇っている裕福層も一杯いる。中近東などの 富裕層と貧困層の格差 に近い。これでクーデターが起こらないのが不思議な位だ。この国は、銃器が自由になるというのが、他の国と違う一方で、国民性として、楽天的な考え方をし、家族主義に代表されるような保守的な面も持ち合わせていることから、今までの政権でも成り立ってきたのだろうと思う。

 次回は、貧困家庭への援助活動を報告する。想像をはるかの超える貧困度合いをご理解頂きたい。

     (つづく、・・・)