ミドさんのブログ

日頃思いつくことを書いてます

世界おもしろ昔のはなし(69)

携帯電話に記録するホステス

 ご指名もホステスの歩合制に大きく寄与するので、お客を何とかして自分の馴染みにしようとする。最初はそういった事情が分からなかった。カラオケ店に入り、女性を選び、席についてすぐ、携帯の番号は?と聞かれ、覚えていないので、携帯を渡すと、番号をすぐ見つけて自分の携帯にその番号を移す。そうして記憶させた携帯番号に、昼となく夜となく、暇があると、「I mis u」、「I love u」をテキスト(携帯メールをフィリピンではこう呼ぶ)で打ってくる。「mis u」は、何もスペルを間違った訳ではなく、missやyouの略式文字なのだ。どちらも深い意味がある訳でなく、お店に来て!と言う程度の意味なのだ。2軒行けば2名から、5軒行けば5名から確実に入る。最初は、面白がって携帯番号を教えたのでドンドンテキストが入り、それを仲間内で面白がって見せ合ったりしていたが、その内バカらしくなって、番号も教えなければ、返事もしなくなった。こういった事をして客を集めないと、彼女たちにお金が入らないのだ。ここでも、経営者にその収入の殆どが入る仕組の格差社会が出来ているのである。

 

カラオケ店の実態

 赴任した2003年、2004年当時は、こういったお店に行くと、1回1000ペソから2000ペソ程度のお金を払った。しかし、彼女たちに入るのは、せいぜい固定給以外に若干の歩合が入る程度であり、給与としては、1万ペソ程度であり、経営者丸儲けなのである。従って、1日で客が数人しか来ないカラオケ店でも結構経営が成り立っていたようである。そんな経営者に暴利を貪られていたが、それでも彼女たちは、家族のために働かないといけないのだ。

 

カラオケ店にも不況の波

 流石に、これには、お客も馬鹿ではなく、また、リーマンショックの影響もあり、お客がカラオケから遠のき始めた。その頃、つまり2008年、2009年頃になると、2時間500ペソ/人というような値下げしたカラオケ店が目白押しになった。が、もう客は戻って来なかったようで、かなりのカラオケバーが店を閉じた。それでも、質の良いホステスのいる、居心地の良いカラオケ店は残った。私は、この頃には全くカラオケには出入りしなくなり、帰国した2009年は皆無だったような気がする。

 

カラオケ店のシステム

 後先になったが、カラオケ店のシステムをここで紹介しよう。

「いらっしゃいませ~」という、独特な日本語の間延びした、アクセントの違う、ホステス達の大きな声に迎えられながら、店に入る。耳を塞ぎたくなるような、大きな音楽が流れている。薄明かりの中、ステージでは、一生懸命歌っているお客とそれに付き添っているホステスの姿がある。色取り取りのドレスを着たホステスが、入口から席近くまで両脇にズラ―と並んでいる。大きなカラオケ店では、50名はいただろう。初めての人は、その迫力に一瞬そこで立ち止まってしまう。そこにボーイが登場し、ホステスのご指名は?と聞く。そうして選ぼうとホステスの顔かたち、姿を一人一人見て行く客に、ホステスは、これ以上はないだろうと思うような笑顔を投げかける。極楽に行ったようであり、気恥ずかしい一瞬でもある。そうして一人を選んで席に着くと、暫くして、先程選んだホステスが席にやってくる。型通りの挨拶をし、最初の一杯で乾杯をし、それぞれがそれぞれのホステス相手に、話しに花を咲かせるのである。話しまくる人、冗談を言い合う人、無口で殆ど口を聞かない人、などなど、色々な客がいる。勿論会話は英語が基本だが、中には、日本語を話すホステスもいるが、それは本当に稀だった。

 

接待としてのカラオケ

 接待でお客や上司を連れていく時などは、自分のホステスそっちのけで、これらの客のお世話をする羽目になる。日本語しか話さない出張者などがいると大変で、ホステスの話を通訳し、出張者に伝え、更に、出張者の話をホステスに伝える。結構、遊びでも疲れる赴任者相手なのだ(この費用は、原則割り勘で、駐在員は当然自腹。社用で等というのは殆どなかった)。

 

ホステス同伴

 気に入ったホステスなどがいると口説く。口説くと言っても食事を一緒にするだけだ。一人で食べるより二人で食べる方が楽しいし、まして若い女性となれば格別である。でも、こうしたケースは、「同伴」と言われ、お客とホステスが食事の後、彼女のお店に行くことが条件となる。よって、食事代、カラオケ代が掛る計算になるので、食事も含め2000ペソや3000ペソ、場合によっては、5000ペソを覚悟する必要がある。彼女たちも、こうした同伴客を連れていけば、1回300ペソ位は、定期給与以外に歩合給で貰えたはずだ。

      (つづく、・・・)