ミドさんのブログ

日頃思いつくことを書いてます

世界おもしろ昔のはなし(73)(メードの話②)

メードの話がもう少し続く。我慢いただきたい。

 

メードとの意思疎通

 ワン、ツー、とかいった数は英語で分かるので、時計を指さし、セブンとかエイトとか言って、出掛ける時間や帰ってくる時間を伝える有様。料理を教えるには、話しても伝わらないので、自分で作って見せるしかない。ともかく、ご飯を炊飯器で炊くことと、味噌汁を作ることだけは覚えさせた。モノ覚えも悪いときた。その他の料理も覚えさせたが、すぐ忘れてしまう。仕方ないのかもしれない。自分が食べている料理と全く違った食べ物を作るのだから無理もないだろう。

 日曜日は、メードもお休みなので、暫くぶりに、例のコックさんのいるレストランに行ってみる。「メードはどうですか?」と、このコックさんが聞いて来る。ダメと言う訳にもいかないので、「言葉がしゃべれないのがねー、もう暫く使ってみます」と誤魔化す。

 

事件が起きた!

 そうこうしている内に事件は起きた。

2か月目に入り大分経った頃のことである。それまで、1000ペソ、多くても2000ペソ程度だった電話料が、突然10000ペソ以上に跳ね上がったのである。電話と言うのは、部屋にあるビル内の内線電話の電話料のことである。日本に掛けるには「0」をまず回して「0081」と国番号を回せば、後は、普通に日本に掛けられる、あの電話である。日本にかけているのは、月一回だけである。それしかかけないので、二千~四千円、そんなもののはずであるが、何と1万ペソ(2万円)である。かけている内訳を見て驚いた。見知らぬ電話番号がズラズラと書いてある。更によく見てみると、同じ電話番号が並ぶ。どうも、フィリピン国内のどこかの島らしい。それで、ハッと思い当たった。メードを問い詰めた。これとて、英語が通じないので大変だったが、自分の親や叔母さんの田舎に電話していたのである。

 

寂しい、やることがない16歳

 私は、一人暮らし。よって、朝食を食べて、6時半に会社に出てしまうと、食事の後片付けにしろ、洗濯にしろ、掃除にしろ、全部やっても8時には終わってしまう。後やることが無いのである。テレビを見る位しかない。お金が無いから出掛けても仕方ないし、つまらない訳である。そこで、どうやって覚えたか知らないが、内線電話を外線にして、地方の局番を回して電話かけていたのである。毎日、2回も3回も同じ番号に電話していた。フィリピンは、国内は、3分かけても1ペソ(2円)程度。本人もそんなになるとは、思ってもいなかったのだと思う。それもチリも積もれば山となるである。毎日、30分も1時間も、2、3か所に電話していたのである。単純計算で、60分かければ、60ペソで、3か所に電話すれば、180ペソである。これが30日続けば、5400ペソ。国内でも、市内は、1ペソ/3分だが、地方にかけるロングデスタンスコール(Long Distance Call)となると、もうちょっと割高になる。これが原因だったのだ。

 

Please  give  me a channce! 

 私も、人が良いと言うか、優しいと言うか、他の日本人に話したらクビにしろと言っていたが、でも可哀そうだ。16歳である。本人に言葉は通じないが、一生懸命当方の意思を伝えた。給与が、月2000ペソ。食事と住居が付いて、2000ペソ/月は、フィリピン人にしては、マアマアの金額であり、遊んでいるよりは、ズーッと良い。「Please give me a chance」(私にチャンスを下さい)、こんな時は、英語が喋れるのか、お前! と、呆れながら相手の言い分を聞いて、もう1カ月様子を見ることにした。

 

懲りない少女

 でも、フィリピン人は、「懲りない人種」だった。次の月も同様だったのである。分からない英語で、どうしてなのか、当方の我慢の限界であることなどを伝えた。「Please give me a chance again」。アゲインが付いて、また、出てきた。もうダメだよ、と意を決し、解雇の意思を伝え辞めてもらったのである。後の章で述べるが、フィリピン女性には、「夫」や「ヒモ」、「家族」が付いていて、彼女たちの給与で生活している人達が一杯いるのが一般的で、メードといえども、解雇する場合は、これらの背景にいる人達に「逆恨み」されない配慮が必要になる。しかし、このメードの場合、日本人コックさんの姪であり、その紹介であり、若いし、ボーイフレンドもいないようなので、その心配はなさそうだった。用心はしたが、所謂、首にした。当然ながら、事前に、紹介してくれた叔父さんの日本人コックさんにも事情を伝えた。

     (つづく、・・・)