ミドさんのブログ

日頃思いつくことを書いてます

mRNA(メッセンジャーRNA)

 さて、今日は、新型コロナワクチン製造にかかわる、「mRNA」についてである。

 

カタリン・カリコ博士

 知る人ぞ知る人物らしい。この女性研究者については、NHKでも取り上げ、かの、ノーベル賞受賞者山中伸弥氏との対談が7月に放映されていたようだ。ハンガリーの片田舎で生まれたカリコ氏は、母国の大学を出て、研究者になったが、研究環境が整わず、その後、家族とともに米国へ渡り「mRNA」に関する研究を続けた。そして、そこで知り合った研究者と2005年、今回の新型コロナワクチンに大いに関係する「mRNA」に関する論文を発表したが、注目を浴びず、研究費を縮小され、職位も降格され米国も後にした。そして、この研究に注目したドイツ企業、ビオンテックに2011年副社長として招かれ、今回の新型コロナワクチンに利用されるという快挙となった。次期ノーベル賞ではないかと噂される人物と言われている。

 

RNA

 「メッセンジャーRNA」と呼ぶのだそうだ。コロナが流行し出してすぐにワクチン開発の話が出た。ワクチン開発には、それまで通常2,3年かかると言われていたものが、いつの間にか1年も経たないうちに開発された。不思議に思っていた方々もいることと思う。そこに、mRNAが関係していたのである。これがあったから短期間のうちに開発できたという。彼女の研究であるmRNA感染症に偉大な効力を発揮すると、最初に注目し、自社に招いたビオンテックは、その後ファイザー社と共に新型コロナワクチンを開発、現在に至っている。そして、もう一つのワクチン製造会社、モデルナもこの技術を使ってワクチンを開発しているのである。

 

RNAの役割、仕組み

 ご存知のように、新型コロナウイルスは、表面に「突起」を持ち、その突起が人間の細胞についている受容体にくっついて細胞内に侵入し、感染するという原理である。その「突起の設計図」に当たるのが、mRNAだそうで、新型コロナウイルスの突起と同じ突起を、人間の体内で作る「設計」をすれば、「新型コロナウイルス疑似突起」を作ることが出来、この突起で、人間の細胞の受容体に予めくっついてしまい、新型コロナウイルスが体内に入ってきたときには、細胞にとりつく受容体は、疑似突起で覆いつくされてしまい、感染しない、という仕組みのようだ。

 

RNAの汎用性

 「疑似突起の設計図」ゆえに、どんなウイルスでもそのウイルスの持っている「突起」に合わせた設計をしてしまえば、そのウイルスに合う「疑似突起」が出来てしまうという原理であるから、汎用性に優れていると言える。このmRNAを開発するのに多大な時間と労力がかかったという点、更には、なぜ他の研究者がmRNAに注目しなかったのかという点が、カリコ博士の他の研究者との違いでもある。

 

既成概念に捉われない

 遺伝物質であるmRNAは、それまで、体内に取り込むと、すぐに分解され、さらに炎症反応を引き起こしてしまうため、長年、薬などの材料として使うのは難しいと考えられてた。しかし、mRNAを構成する物質の一つを変えることで、それが解消できることを発見したと言うのである。つまり、一つは多くの研究者が、mRNAは使えないと諦めていたのを、出来るのではと考えたこと。もう一つは、何をどう変えればよいのかということで実験を重ね、その結果を重要視しながら、既成概念に捉われず研究し続けた結果、ワクチンに使えるmRNAを発見したことである。

 

苦境にも自身の考えを貫き通す

 研究費を削減され、研究成果に誰も興味を示さず、苦境に陥っても、mRNAはきっと人類に役に立つ、という信念の元、家族とともに、ハンガリーアメリア、ドイツを転々とし、研究機関も転々としながら、やっと、新型コロナウイルスワクチンとして陽の目を見たということである。彼女の人生の途中でかかわった人たちが、彼女について色々な感想を述べている。こういった話だけを聞いても非常に興味深い。

 

これからの若い人、子どもに

 「既成概念に捉われない」ということは、子ども時代からの教育に大いに関係があると思われる。そして「自分の考えを貫き通す」という信念は、意地っ張りと言った性格と似ているようだが、似て非なるものである。こういった考えには、高校時代の恩師の教えがあったと、カリコ女史も言っている。

 「・・・しちゃだめよ」という小さな子ども教育も、時と場合によると思われる。

       (つづく、・・・)