ミドさんのブログ

日頃思いつくことを書いてます

フィリピンの魅力(6.家族の絆)

 拙書「サラマッポ」に書かれている順番で、この記事を書いている。ただこの本通りではない。その記事に、新たに思い出すことや考えなどを書き加えている。「エンタテーナー」や「娘は大黒柱」という記事がある。殆ど書き足すことはないが、フィリピン人のその才能には本当にびっくりしたものだった。

 

プロはだしの忘年会

 私は11月に赴任したのだが、最初にびっくりしたのは、12月にあった忘年会。忘年会の準備段階である企画・立案・演技指導・出演者まで全て手作りなのである。しかもそれに必要な小道具類まで準備するのだ。それでありながら、実際の演目は、NHK紅白歌合戦より余程面白いのである。是非、このブログの読者の皆さんに見せたいくらいである。もし会社にフィリピン人が数人いたら、彼らに、社内イベントの計画立案を任せてみたらよい。今までにないショーが繰り広げられること間違いなしである。

 

女性蔑視のない女性水着ショー

 更に、現地ではOuting(アウテング)と呼ばれていたが、いわゆる遠足、社員の日帰り旅行である。これは、近場の車で2時間程度の海岸近くの保養地へ観光バスを何台も連ねて出かけるのである。もちろん、全て会社の費用。その内容は拙書に任せるが、その中で繰り広げられる、女性の水着ショーにはびっくりさせられた。恥ずかしがるところではない。ここぞとばかりアピールする女性ばかりだ。男女ともフィリピン人はエンタテーナーである。ここには女性蔑視という考え方は存在しない。

 

働き者のフィリピン女性

 働き者のフィリピン女性の話だ。日本に働きに来るフィリピン女性をある時期「ジャパユキさん」と呼んだ。その当時、女性は来たが、男性の話はなかったし、実際に少なかったのだろうと思われる。フィリピンの田舎の方を車で走ると、男性が良く家の外に何もせず佇んでいる姿を見かける。しかし、まず女性はいない。これは一般論の話である。フィリピンでは、炊事洗濯掃除全て女性の仕事、更に言えば、お金を稼ぐのも女性がメインである。フィリピン女性は真面目なので重宝がられる結果なのかもしれない。正に一家の大黒柱なのだ。

 

種馬?

 結婚して子供ができると、その子供は、家族全部で育てる。祖父・祖母も同居が普通であるから、当然だが、それに叔父・叔母まで加わることが良くある。そして、離婚して、母子+家族・親戚というケースがかなり多くある。家の中で特別な役目がある訳ではないので、子どもを作る手伝いをしてもらったら、もう用なしというのが男なのである。現地では、「男は種馬」という言葉をよく耳にしたことがある。

 

働き口の少ないフィリピン

 もちろん、我々のフィリピンの会社で、男性が良く働き、一家を支えるケースもたくさんあった。全部が全部そうでないことは確かである。ただ、一般的に見て、女性は信用できても男性は信用できないという考え方が、私の5年超の赴任の間で出来上がったのも確かである。ある意味仕方ないと言えるのかもしれない。男の場合、働き口が少なく限られている。一方、女性となれば、学校を出ていなくても、カラオケパブ・レストランなどの水商売から始まりデパートの店員・会社の作業者など多種多様な仕事がある。

 

なぜ偉い?日本男性

 日本では、働いていなくても、稼ぎがなくても、社会的信用は男性の方があり、一家で一番偉いのは父親、二番目は母親とか年上の人と、子どもの頃から教わって育つ。

 しかしフィリピンは違う。働いて稼ぎがある人が一番偉いのである。座る位置も指示するのも使うものも稼ぎがいいものが一番である。日本で言う"ヒモ”は存在しない。貧困さ故かも知れない。仏教の教えのような「心の教え」は存在しないと考えた方が良いかもしれない。ただ、そうは言っても、家族は日本人以上に仲が良いし、親せきも仲が良い。従妹、叔父さん、叔母さんなどは、兄弟・親以上のように付き合うのである。だから、母子家庭でも問題なく子どもは育つ。

 

”絆”の残るフィリピン

 よくよく考えてみると、日本も家族の絆が強かった時代は貧困だったし、貧富の差が大きかった。しかし、時代が進むにつれて、家族主義から核家族へと進み、今では、家族の絆は脆弱になったと考えられる。裕福が”絆”を津波のように押し流したのだ。今はどうか分からないが、10年前、フィリピンを昭和時代の日本を見ているように感じたのも頷けるというものである。

 昭和時代の人間には、どこか魅力を感じるのがフィリピンである。

     (つづく、・・・)