ミドさんのブログ

日頃思いつくことを書いてます

フィリピンの魅力(9.他人の振り見て、我が振り直せ)

現地でもらった賞金

 お金にまつわる話を二つほど。フィリピンの製造会社だったが、大きく分けて二つの部門があった。その一つが、キャノン(フィリピン)が顧客だった、納入製品の成績が良く、不良品部門や納期遵守部門などで、毎年のように表彰を受けた。表彰式には、毎回出席し、表彰状をもらい、賞金を受け取り、受賞挨拶をして、会社へ戻るのだが、この賞金の処理で、当初もめた。

 

賞金の行方

 賞金金額は10万程度なので、部門全体で考えるとそれほど大きな金額ではない。でも、関連部門の従業員が200人としても、一人500円程度となる。この10万円の処理を関係部門で相談させてみた。すると、出た結論は、全員で均等割りにするという結論。フィリピンで500円と言えば、日本で考えれば1000円位の感覚ではあるが、それでも、なかなか日本人の感覚では、そういう結論にはならないだろう。お金の価値を重要視する日本人と、ぱっと使いたい感覚を持つフィリピン人の感覚の違いである。

 

金欲を物欲に変える

 ここには、全員で分けるという問題と、関係部門だけで分けるという問題の二つがあった。そこで、関連部門だけでなく全従業員で、しかも物品で分けるという結論にした。

 何でもお金にしたがる国民性を持ち、社内でも不良率をよくしたら、フリーランチをご馳走してくれ、という従業員たちである。この何でもお金にしたがる性格を変えたいという気持ちもあった。また、一部門の成果ではあるが、人のやりくりなどで、他部門も協力してくれた成果であることから、全社で受賞を喜びたかったのだ。

 

お金の貸借

 もう一つの話は、お金の貸し借りの話である。赴任したての頃、ドライバーと常時行動を共にしていると、その内、ドライバーが一時的にお金を貸してくれ、と言い出す。そうして貸したお金が戻ってこないと、日本人がぼやくのを何度も聞いていた。私のドライバーも同様に言い出した。そこで、どうしようか考えた。日本人の中には、もうフィリピン人にはお金は貸さないと決めている者もいた。でも、それでは可愛そうなので、貸すには貸すが、支払い計画を立ててあげた。1万ペソなら、給与日に1000ペソずつ返す計画である。そして毎月給与日に1000ペソを返金してもらったら、支払い計画表にサインしてあげるというものである。すると、2万ペソや3万ペソを貸すこともあったが、一回も貸倒はなくて済んだのである。

 

フィリピン人の性格

 つまり、どういうことか。一つは、フィリピンには、お金持ちはお金を持たない人に施しをするのは当たり前という考え方がある。だから、ドライバーと日本人を比較すれば、日本人の方が裕福なはずだという論法。それと、もう一つは、毎月毎月支払うなんて、フィリピン人の性格からして、面倒で堪らないのである。きちんと計画を立ててあげれば、それは実行できるが、計画自体を考えることすら面倒であり、パッパッと処理ししたいのである。決して、間違っても踏み倒そうなんて考えは毛頭ないのだ。

 

他人の振り見て我が振り直せ

 しかし、当時の日本人の間では、フィリピン人はズルイという評判が立っていた。その評判自体間違っているのである。長くフィリピンにいればこうしたことも分かるが、ちょっとばかりフィリピンをかじった程度では分からない。「・・・人は、こうだよ」と我が知り顔で話す御仁もいるが、フィリピン人には迷惑な話である。決してそんなことはないフィリピン人達である。

 この手の話は日本人の間にも当てはまる。原因は他にあるのに、いかにもその人が悪いように言う人である。「他人の振り見て我が振り直せ」という諺もある。人を正しく理解したいものだ。