ミドさんのブログ

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フィリピンの魅力(46.住まいの実態)

 今日は、フィリピンの住居の話題を書く。

 

フィリピン人の階層

 私が見たアパートでの共同生活の様子を書いてみる。この記事は、前に私が出した「サラマッポ」という本に掲載した記事を転載したものである。

 フィリピン人の階層は、大きく三つに分かれる。一つは、富裕層と呼ばれる桁違いな金持ち層。そして、一軒家をやっと買い求め、一族郎党で一緒に生活している中間層、更に、そうした生活を夢見て田舎から出てきた借家生活の低所得層、敢えてもう一つ言えば、職もなくぶらぶらしている超貧困層の三つか四つに分かれる。

 

借家生活者

 この中でも、低所得者層・超貧困層が圧倒的に多い。我々の現地会社でも、所謂事務職やラインリーダーなどになっているものは大学出身者が殆どであり中間層に位置し、親と一軒家に同居し結婚して独立し一軒家を買い生活するパターンである。

 こうした従業員はまだいいが、田舎から出てきて生活している独身者は、給与の殆どを仕送りに回すことから、いつまで経っても一軒家を買える経済力を持たず、借家生活を余儀なくされる。そんなアパート生活者の実態を紹介する。

 

みんなで暮らす生活

 日本のように一人暮らしという例は少ないようだ。フィリピン人の性格が明るく開放的で友だちや家族を大事にすることから出ているのかもしれないし、治安が悪く団体での行動・生活が安全ということもあり、こうしたパターンになっているのかもしれない。

 兄弟姉妹で生活している一例であるが、一番上の姉と二番目の姉がカラオケバーで働き生計を建てている。三番目、四番目の女の子は高校・中学に通う、そして一番下の男の子は小学生である。学費・生活費全て二人の給与から賄われている。更に多少の仕送りも両親にしていたらしい。こうしたパターンでは、兄弟姉妹の一人が都会に出てきて働き出す。当然一人もしくは友だちとの二人でのアパート生活で始める。そして生活が安定し出すと、次に働き手の兄弟姉妹を都会のアパートに呼び寄せる。兄や姉のアパートに身を寄せながら就職先を探す。勿論、学校に行く場合だってある。しかし兄弟姉妹が多い場合は、上の学校に行くなどという贅沢は言っていられず、下の兄弟姉妹の学校へ行かせることを考えないといけないことから働かずにはいられないのだ。そして、二人の生活が安定すると、学校に行かせる、生活をさせることを目的に親元を離れ、全部が上の兄姉のアパートに身を寄せるのである。

 

借家の間取り

 こうしたアパートには、キッチンはついているがシャワールームがない、もしくは共同というのが多く、洗濯機やトイレも共同が一般的である。キッチンは、ガスコンロが多く、ガスはプロパンであるが、殆どの場合、コンロ台の下、即ち屋内に置かれる例が殆どである。規制がきつくない、屋外に置く場所がない、盗難がある等が主な理由であろうが、5年滞在した間に、プロパンが爆発したなどという噂は聞いたことがない。あまり料理をしないフィリピン人故かもしれない。

 

シャワー・トイレは共同使用

 また、シャワーも共同であるから順番待ちであり、手早く、空いている時を狙って入るということになる。当然ながらお湯の出ない水のシャワーである。幸いなことに常夏のフィリピンであるからそれでも支障はないようだ。

 兄弟姉妹数人で入るアパートは二部屋の場合が多いようであるが、当然ながら男も女もなく雑魚寝状態である。こうした生活をしているとお互いに贅沢を言わず、兄弟姉妹仲が良く、稼ぎ頭の兄姉たちの言うことには親以上の威厳がある。

 

友達との二人住まい

 次に友だちとの二人住まいの例。小さな三畳位の部屋にベッドが両脇に並べられ、ベットの上が生活空間でもある。ベットの隅には、洗濯物が綺麗に畳まれうずたかく積み上げられ、壁にはハンガーに掛けられた洋服が並べられている。トイレ・洗濯・シャワーは共同使用、当然だがキッチンはない。全て外食(買い食いも含め)である。良い就職先があれば、一人住まいのアパートを借りることもできるが、普通のスーパーのキャッシャー程度では、こういったアパートが精一杯なのだ。当然ながら田舎に何らかの仕送りをした上での生活でもある。