ミドさんのブログ

日頃思いつくことを書いてます

人足(にんそく)

義務人足

 人足(にんそく)という言葉自体なかなか聞き慣れない。私たちには年に4回「人足」作業を義務としてやっているので聞き慣れた言葉である。農地を抱えた地主は、稲を作っていようといまいと地域内にある農地の水路横の雑草を刈り取る作業を”義務”としてやる作業がある。親の代からずっと受け継いできた一種の行事である。

義務人足(この日は草刈り機で、道路脇の雑草刈り)

 朝8時に集合。3、40人程度集まる。地域毎に10班くらいに分かれて地域内田んぼの横の雑草刈りを行なう。田んぼの横とは言うが、正確には田んぼに水を供給する掘り(用水堀という)の道路側の雑草を刈り取る作業である。

 

昔の勤労奉仕

 この作業は一種の勤労奉仕作業。”人足” も ”勤労奉仕” も我々の子ども時代にはよく使われた言葉だったが、現在では一般には余り使われていない。携帯で意味を調べようとしても「人足」の字が出てこない場合すらある。

 「勤労奉仕」も同様だろう。ボランテアは自由意志で参加する無償労働だが、勤労奉仕は時として強制される場合がある。今回の人足も一種の強制であり、参加しないと「欠務費」と称して一日当たりいくらという罰金が払わされる。

 

勤労奉仕の意味

 つまり、そうでもしなければ参加しようとする人が少なくなったということでもある。「勤労奉仕」を辞書で調べてみた。出所は分らないらしい。私の解釈では「勤労」は、働いて報酬を貰うという意味だが、言葉のニュアンスとして「真面目に働く」という意味合いが、そして一方「奉仕」は「奉」の字があるように「神に仕える」という無償の意味合いを持つ。

 

昔の勤労奉仕の意味

 太平洋戦争の頃、「お国のために」という国に奉仕するという考え方の名残があるのではと思われる。本来、県道であれば県が、市道であれば市が、私道であれば所有者が整理・清掃するのが当たり前だが、昔は、人手不足から国民が奉仕作業に駆り出された名残であろう。国土は神様から与えられた土地。だからその土地を預かっていることに感謝し、奉仕するという意味合いなのだろう。

 

時代遅れの勤労奉仕だが・・・

 この行事は日曜日に行なわれるが、「欠務費」を払うより働いた方が収入になると最初から参加しない地主も出てきている。つまり「奉仕」という考え方が時代遅れになっていると言うことでもある。

 でも、こうした奉仕のお陰で、両側が綺麗に刈られたたんぼ道を車で走ったり、散歩道として利用できたりするのだ。本来管理者がすべき事だろうが、何でも自治体に任せれば、その分地方税に跳ね返って、家計を圧迫する。

 年4回の奉仕で、たんぼ道が綺麗に管理されるのであれば、こういう奉仕もたまには悪くはない。