ミドさんのブログ

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日本には、肉食禁止時代が1200年も!

チリの畜産農家に教えられた日本文化

 チリの牛飼育農家が、日本の牛肉文化を勉強しに日本を訪れた。そんなドキュメントを放映していた。そこで、日本の和牛肉の美味しさに触れ、「たった150年の日本の牛肉文化で、よくここまで進化を遂げた」と感心するシーンがあった。

「えっ!」と、びっくりした。お恥ずかしいことに、その外国人の言動を聞くまで、日本の牛肉を食べるという文化がたった150年だったなんて、知らなかった。

 

自分の未知を恥じる

 これまで、外国経験豊富な人間として、子供たちに「ゲストテーチャー」と称して、外国の話、風俗、習慣、風習などの経験談を聞かせてきた。その中には、中近東を中心とする、アルコール禁止、豚肉禁止のイスラムの世界のことも話していた。その私が、自分の国で牛肉の歴史が「たった150年だったとは、知らなかった」ことに、非常に恥ずかしい思いとショックを受けた。

 

牛肉食禁止の文化

 そこで、本当にそうなのか、理由は何なのか、など、ネットの公表されている話をかき集めてみた。すると、この話は二つの事実からそう言われていることが分かった。また、同時に、イスラムの世界の豚肉食の禁止とは少しレベルが違うことも分かった。

 一つは、そのきっかけを作った、西暦675に発令された「殺生肉食禁止の詔」である。3世紀頃は、野生の動物を取り食べていたことは分かっており、ただ、喪に服すなどの時には、「肉食は穢(けが)れに繋がる」という考え方から、「禁欲」というレベルの考え方をした。しかし、6世紀に入り、仏教が伝わったことで、動物を殺して食べることを「禁止」したのである。

 ただ、この禁止令は、日本書紀に明確に「牛・馬・犬・鶏・猿」だけだったと記されているので、野生の鹿・猪・兎・熊などは食べていたらしい。

 

「肉食解禁」の令

 そして、二つ目は、明治天皇による、1872年の「肉食解禁の令」が発令されたことである。

 西暦675年に最初の肉食禁止令が発布されてから、1872年に禁が解かれるまで、実に1200年もの間、日本では肉食を忌避する文化が醸成されていったということになる。しかし、これらは天皇からの指示であって、実際の庶民の生活の上では、特に、鎌倉時代などの武家時代では、肉食は、保存食も含めて、食べられていたという事実から、イスラムの豚肉禁止のような強い制限ではなかったようである。

 

農耕民族の日本人

 日本人は、もともと農耕民族だから、五穀を主食としていた民族である。しかし、その中でも、鹿・猪・兎・熊・鳥などを狩猟して食していた事実もあった。元々、農耕に役立つ家畜を食べるという文化は、日本にはなく、牛、馬は余り食べなかった。同時に、ペットでもある犬や猫なども食べる習慣はなかったようだ。一方で、近くでは、韓国・中国などでは、今でも犬・猫は食べる習慣があるらしい。最近では、日本へ来たベトナム技能実習生が日本の犬を見て「美味しそうですね」と言ったという話が、他の日本人から聞かされ、ベトナムでも、未だに、犬を食べるんだと知った。

 

世界にある肉食禁止文化

 せっかくなので、なぜ、イスラム世界では豚肉を食べないのか、ヒンドゥ―教では、牛を大事にし、牛肉を食べないのかも調べてみた。

そういえば、私が子供頃、母方の祖母がいたが、牛肉はあまり口にすることもなかったし、タブー視されていたような感覚があったことが、かすかに記憶の片隅にある。昭和30年前には、まだ、こんな感覚が残っていたのか、と今更ながら、思い起こされた。

 知っていることを、子供たちに教え、伝えていくことも大事だが、改めて、自分の知らなかった自国の食文化を知るきっかけを作ってくれた、チリの外国人に感謝である。