ミドさんのブログ

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優勝旗、”勿来の関” 越え

高校野球、決勝戦終わる!

 夏の高校野球の熱い戦いが終わった。大阪桐蔭を破って決勝へ進出した「山口国際」と初の東北出身校の優勝を狙う、「仙台育英」との決勝戦である。結果は、県予選・甲子園での戦いを通じて、チーム初のホームランが満塁ホームランとなった、仙台育英が、8-1で山口国際を破り、深紅の優勝旗の ”白河の関越え” を果たした。

優勝の歓喜(いずれも、読売新聞から抜粋)

 関東以北以外の方々には、知名度も今一つかもしれないが、「白河の関」は、関東(栃木県)と東北(福島県)を分ける大きな関跡である。高速道路で言えば、東北自動車道、新幹線で言えば東北新幹線などの幹線を関東と東北で分ける要所となっている。

 

勿来(なこそ)の関

 私は、太平洋岸に住んでいるが、関東(茨城県)と東北(福島県)を二分するのは、「勿来の関」である。幹線道路や線路で言えば、常磐自動車道常磐線ということになる。「勿来」は、「來る勿かれ」という意味だと小学校の頃教わった記憶がある。東北は、それほど、田舎の蝦夷地だったわけである。しかし、マスコミも誰も、東北に深紅の優勝旗を運んだことを「白河越え」とは言うが「勿来越え」とは言わないのが、実に寂しく、悔しいものがある。

 

両校監督の熱い思い

 今回の優勝を果たした両チームの監督の心情はどちらも熱い。車を走らせながら、テレビのスイッチを入れたら、「宮城の皆さん!東北の皆さん!おめでとうございます!」の第一声が聞こえた。「あれ? 誰のインタビューだ?」と一瞬思った。内容を聞いてみると仙台育英の優勝監督挨拶だった。普通だったら、「宮城の皆さん!東北の皆さん! 皆さんのお陰で優勝できました!」が第一声になる。

 

優勝校監督の挨拶

 なぜ、こういう挨拶になったのか、考えてみた。普通の挨拶だと、自分と自分のチーム、生徒たちの優勝というのが大きくクローズアップされる。しかし、監督の挨拶だとあくまで監督は優勝の後押し役、「主人公は、宮城・東北の皆さん」という思いが強かったのだろう。「宮城・東北の皆さんの学校の後押しが出来て、本当に良かった」との思いが出ている。その後挨拶にも、涙ながらに語る監督の熱い思いが、滲み出ていた素晴らしい挨拶だった。こちらまで、テレビを通じて聞こえてくる挨拶に目頭が思わず熱くなった。

 

準優勝校監督の熱き思い

 そして、山口国際の監督である。17年前当時の校長先生に野球部の指導をやらせて欲しいと手紙を送ったという。当時まだ学生で教員になろうとしていたというが、自分の学校の近くにある山口国際の野球グランドの荒れ具合を見て、指導してやりたいと手紙を送ったという。そして、少ない人数の部員を相手に指導を続けた。途中、他校から好条件での監督就任の誘いもあったというが、校長先生との約束をしっかり守り、誘いを断り、17年後、ついに、準優勝まで漕ぎついたという。

 

コロナ禍での高校生活

 高校野球というのは、高校生たちが、一生懸命、力一杯熱い試合を魅せるが、テレビに映る選手ばかりではない。控えの選手にさえなれない背番号のない部員たち、応援の人たち、支援する学校の先生たち、父兄たち、そして監督が、これだけ試合に懸ける姿を見せたら、視聴者も夢中になるはずだ。これが世界に誇る、日本人の心情かもしれない。

 コロナ禍で、「僕たちが過ごしてきた高校生活とは全く違うんです」という、優勝校監督の言葉が身に染みた。両校とも、本当によく頑張った! お礼を述べたい。

観客席の皆さんにお礼を述べる選手たち(読売新聞から抜粋)